Challenge

ビジョンを描く、挑戦の物語
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英語教育
2021/02/26

【CEFR/PROGOSの普及へ・前編】日本への危機感

今、この記事を読んでいる人のなかに、こんなことを思っている人はいないだろうか?

外国の人と仕事をするには、英語が話せなくても通訳や自動翻訳を使えば大丈夫。
今の仕事に英語は関係ないし、仕事で英語が必要になる人なんて、ごく一部だ。
日本は英語圏じゃないから、英語を使いこなせなくても仕方ない。
でも、日本人は勤勉で読み書きの能力が高いし、海外に行ったらちゃんと英語を通じるはず。慣れていないだけで…。

「これ全部、間違ってるから」と、安藤は断言する。

いやというほど知っていた。
日本がとり残されつつあるという現実を。

安藤は、大学卒業後に大手シンクタンクや外資系製薬会社に勤め、その後渡米。シカゴ大学大学院(MA)、ニューヨーク大学経営大学院(MBA)を修了している。日系証券会社のニューヨーク支店で勤務した経験もある。
帰国後は、国際教育企業や英語試験の実施団体、eラーニングの事業会社などに勤め、数えきれないほど、外国人との商談や交渉やプロジェクトもこなしてしてきた。
その間、数々の国際会議にも出席し、そして、いつも目の当たりにした。

…日本人の存在感がない。

時々見かけても、それは登壇者ではなくオーディエンス。しかも、集団で固まり、通訳や翻訳サービスが手放せない。そんなことをやっているのは日本人だけだった。
安藤は、強烈な危機感を覚えた。
やがてそれは「何とかしなければならない」という使命感へと変化していった。

世界で最先端のIT教育やマネジメント教育を行う海外大学や研究機関を訪れると、アジア人留学生はとても多いが、日本人は非常に少ない。
また、それらの留学生は、グローバルなスケールでキャリアを描いている。
逆に、海外の優秀な人材が国を問わず活躍したいと考えたとき、わざわざ日本語を習得しなければ留学も就労もできない国は、魅力的に映るだろうか…。
これらは、日本の競争力の低下にも呼応しているように見える。
このままでは、日本はガラパゴス化して、取り残されてしまう。

胸に響く警鐘が、挑戦のはじまりを告げる合図だった。

日本でもジョブ型雇用の導入が取りざたされているが、世界では既にスキルを基本に国境を越えた人材獲得競争が激化している。*
日本企業もグローバル競争で生き残っていくには、その競争をフロントラインで支えられるレベルの人材を揃えることが不可欠だ。
だから、社員研修を充実させ、人材投資をしているわけである。
あるいは、いつまでたっても社内で育成ができないのであれば、外から採用した方が早いと考えるかもしれない。

日本が遅れをとっていた業務のデジタル化はようやく進展し、今やオンラインコミュニケーションは当たり前になりつつある。
それは、物理的な距離が阻害要因ではなくなるということ。
つまり時差の問題を除けば、いつでも、誰でも、多くの国々の人たちと容易につながれるということだ。

日本でも、国籍や居住地に関係なくスキルで人を選び、世界の複数拠点からリモートで連携しながら業務を進める…というシチュエーションが、今後増えていくだろう。

一度も直接会ったことがない多国籍のスタッフを、リモートでリードする力量が求められるようになる。

…この時、高度な英語コミュニケーション力が決め手になることは、想像にかたくないはずだ。

実は、英語はグローバルビジネスを行うための入口に過ぎない。
グローバルコミュニケーションは、単に日本語を英語に置き換えれば済むというものではない。
文化や商習慣の違いの認識と配慮、多様な価値観や相手の立場に対する洞察力、尊敬・信頼を得るための言動。
こうした要素が伴ってはじめて成り立つものだ。
単なる言語領域にとどまる話ではないからこそ、直接、自分から英語で考え、英語で伝えることを通して、体得していくしかない。
通訳や翻訳サービスでは、すべてをカバーはできないのである。

英語以外の高いスキルを持っている人も、英語がネックで、持っているスキルを発揮できなければ、グローバルには評価されない。
換言すれば、英語のネックさえなくなれば、活躍の場は世界に広がるわけだ。
「今の仕事に英語は関係ない」と思う人も、同じ仕事を海外の仕事仲間ともでもできるようになったら、どんなに人生がexcitingになるか想像してほしい。
一人ひとりが持っている素晴らしいポテンシャルを、国を超えて発揮できる――そんな未来図を描きたい。

ある団体が出している世界の英語能力指数ランキング2020によると、日本は100カ国中55位であった。**
このなかからG7の国を取り出して比べてみると日本は最下位。
G20の国と比較しても、日本を下回る国は、ほんのわずかである。

また、別のテスト団体の受験者の集計レポートによると、日本は英語スピーキング力が19カ国中18位、ライティング力が19カ国中最下位(2019年レポート)。
リスニングとリーディングは合算で、49カ国中44位(2018年レポート)であった。***

これらのデータが示す通り、「日本は英語圏の国ではないから」というのは「英語を使いこなせない」理由にはならない。
ヨーロッパ系言語を使う国だけでなく、中国、韓国をはじめ多くのアジアの国の方が、日本よりも英語力が高いとわかる。

その差は一体どこから生まれてくるのか…

英語スピーキング力と読み書きの能力は、別物である。
読み書きには、前もって調べたり見直したりする時間があるが、スピーキングは常にアドリブ対応。
相手からの予測できない質問を正しく聴き取り、理解し、自分の意見を正しく返すための文章設計を、頭の中で瞬時に行う必要がある。
「読み書きができるから話せるはずだ」というロジックは、必ずしも成立しない。

ちなみに、海外の英語学習方法と比較してみると、日本は英語学習に時間もお金もかけている。
しかしその内容は「読む・聞く」の学習が多く、瞬発力を養う「英語で学び英語で話す」機会が、圧倒的に少ないのではないだろうか?
むしろ、「話す」機会をいかに創出し、データに基づいていかに効率よくスキルアップするか。
それが、日本の英語教育における鍵となるのではないか?

それは、他ならぬレアジョブのグループビジョン“Chances for everyone, everywhere.”や、「英語教育3.0」に通ずる思想だった。

グループビジョンへの強い共感とともに、安藤にはもうひとつ、チャレンジの舞台としてレアジョブを選ぶ理由があった。

英語を話す力をつけるには、現状とゴールを明らかにして、最短距離で到達する。
忙しい社会人にとっては、学習の鉄則だ。
だが、日本には、現状とゴールについて誰もがわかる共通のモノサシが定着していなかった。
そもそも「英語スピーキング力」とはどう定義するのか?

必要なのは、英語スピーキング力を適切に示し、グローバルで通用する汎用的なモノサシ――。

安藤と、レアジョブの答えは一致していた。
それが外国語のコミュニケーション能力を示す国際標準の指標・CEFR(セファール)である。

CQOの下又を中心に、レアジョブはこれまでにも英語教育の“質”を高めるためのベースとしてCEFRに基づく教材やカリキュラム開発を行ってきた。
そして、効果的な英語習得に不可欠な「アセスメント」を行う新たなプロダクトとして「PROGOS」を開発した。

この2つを同時に普及させていくことが、安藤が思い描いた未来を実現する最短ルートになる。
壮大なチャレンジを受けて立つ覚悟は、できていた。

【CEFR/PROGOSの普及へ・後編】可能性を描くへ。

*https://www.weforum.org/whitepapers/strategies-for-the-new-economy-skills-as-the-currency-of-the-labour-market
ここでいう「スキル」とは、コンピテンシーやさまざまな能力も含めた広い意味のスキル。
**https://www.efjapan.co.jp/epi/
***https://www.ets.org/s/toeic/pdf/sw-report-on-test-takers-worldwide.pdf
https://www.ets.org/s/toeic/pdf/2018-report-on-test-takers-worldwide.pdf
あくまでもテスト受験者間のランキングで、国全体の英語力を測定したものではない。

安藤 益代
法人事業本部副本部長
大学卒業後、大手シンクタンク、外資系製薬会社を経て渡米。滞米7年半の大学院ならびに企業勤務経験を経て帰国後、英語教育・グローバル人材育成分野にて20年以上の実務。企業で最も使われている英語テストの普及ならびにグローバル人材育成の促進にも携わる。2020年4月より当社へ入社。アセスメント事業を担当。