リリース本文
  • Twitter
  • Facebook
  • Linked In
プロゴス
2023/06/19

42万人(*1)の受験データから日本人の英語スピーキング力の実態が判明 グローバルビジネスで通用するレベルはたった6%

TOEIC®L&Rではわからない、深刻なスピーキング力不足が浮き彫りに

スキルの可視化と向上を支援する“AIアセスメントカンパニー”の株式会社レアジョブ(以下、レアジョブ)法人向け事業子会社、株式会社プロゴス(以下、プロゴス社)は、2020年6月の提供開始から3周年を迎えたAIビジネススピーキングテスト「PROGOS®」の受験データを活用し、日本人の英語スピーキング力に関する調査結果を発表いたします。
*1:2020年6月以降の「PROGOS®」のべ受験者数

背景

2020年6月、レアジョブグループでは英語スピーキングテスト「PROGOS®」をリリースいたしました。同テストはAIによる自動採点を中心に国内外の企業・大学で広く活用されており、のべ受験者数は42万人に上ります(2023年5月末月時点)。ビジネスにおける実践的な英語スピーキング力の可視化ツールとして、企業の人材育成研修や採用活動、大学における試験など幅広く活用され、定着してまいりました。“日本で最も年間受験者数が多い英語スピーキングテスト”として認知も高まっている中、3年間で蓄積した大規模受験データを調査・分析し、日本人の英語スピーキング力の実態と課題を明らかにいたしました。

結果1. 日本人のスピーキング力 最多レベルは初級段階の「A2 High」

「PROGOS®」は、国際的な言語力指標である「CEFR(セファール)*2」に準拠しています。対象期間における日本人受験者の結果(*3)から、ビジネスパーソン(一部、大学生を含む)の英語スピーキング力はCEFRレベルで下記の分布となることが判明しました。

・最多レベルは初級段階の「A2 High」
・ビジネスで何らかの英語を使ううえで最低限必要とされるレベルは「B1」だが、「B1ならびにそれ以上」のスピーキングレベルを持つ日本人受験者は「49.1%」であった
・グローバルビジネスで通用する英語レベルは「B2」以上だが、「B2以上」のスピーキングレベルを持つ日本人受験者は約「6%」に留まる

以上の結果から、グローバルなビジネスで英語を使いこなせる日本人ビジネスパーソンは、ごく少数に限られており、少し英語が使えるレベルから、ビジネスに通用するレベルの間に大きなギャップがあることがわかります。
*2:CEFR(Common European Framework of Reference for Languages/ヨーロッパ言語共通参照枠)の略。コミュニケーション能力別のレベルを示す。
*3:「PROGOS®」受験者42万人のうち、日本人受験者34万人のデータから算出。日本人全体の英語スピーキング力を示す数値ではない。

結果2. リスニング・リーディング力とスピーキング力には大きなギャップがある

ビジネスで英語を使うにあたっては、英語4技能(「リスニング」「スピーキング」「リーディング」「ライティング」)を使いますが、特に商談や会議などで適切なコミュニケーションを取るために「話す」力が非常に重要になります。そこで、よく受験されているTOEIC®L&Rと「PROGOS®」の両方を受けた人の受験データを活用し、技能間の比較分析も実施いたしました。

「PROGOS®」の受験者かつTOEIC®L&Rのスコアも保有する約5万人のデータをCEFRレベルに換算して比較したところ、リスニング・リーディング力とスピーキング力には大きな差があることがわかりました。分析結果によると、TOEIC®L&Rのスコアからリスニング・リーディング力で「B1」レベル相当があるとされる対象者のうち、実際に同等レベルのスピーキング力を持っているのは4割、「B2」レベルにおいても1割強にとどまることが判明しました。この結果から、下記の考察が得られます。

・スピーキングの実力を把握するためには、スピーキングテストで測定する必要がある
=TOEIC®L&Rのスコアを換算するだけでは、スピーキングの実力を正確に把握できない
・ビジネスで重視されるスピーキング力が、リスニング・リーディング力と比べて大きく劣っている
=リスニング・リーディング力とバランスがとれたスピーキング力を持っている人は非常に少ない

結果3. 海外売上が伸びている企業ほどスピーキングテストの利用が多い

企業のグローバル化進展の一指標としての海外売上高の伸びと、英語スピーキング力の関連性も調査しました。海外売上高を開示している約1,200社のデータをベースに、2019~ 2021年度の海外売上高の年平均伸び率と、その中の2020年6月リリース~2023年5月末までの「PROGOS®」利用企業を比較したところ、以下のことが判明しました。

・企業数では海外売上高の年平均伸び率は5~10%が最多であったが、このレンジで「PROGOS®」を100受験以上大規模に導入している企業の比率は圧倒的に多い。また何らかの形で「PROGOS®」を導入している企業の割合も多い。
・海外売上高が0~20%で伸びている企業では「PROGOS®」を導入している企業の割合が多い。

上記は、事業のグローバル化に伴って、英語による業務が増加し、的確な人材配置や語学力育成のために、英語スピーキング力を可視化したいという企業が増えることを示唆しています。コロナ収束に伴い、中長期経営計画の中で海外展開を加速化する企業が増える中、それを支える人材のスキル面の施策として、注目すべき傾向と言えます。

「PROGOS®」を導入しない企業の理由としては、TOEIC®L&Rを使っているから必要ない、あるいは英語を使うのは一部の人に限られるから、などが聞かれます。しかし、オンラインも含め海外との接点が増えた結果、社員のスピーキング力不足に直面し、「PROGOS®」の導入に踏み切る企業が増えています。

結果4. アジア諸国のスピーキング力と比較しても日本は低いという結果に

「PROGOS®」は、54の国と地域で利用されています。そのうち450名以上の受験者がいる国・地域別のスピーキング力比較を行った結果、アジアのなかでは、日本とタイは最多レベルが「A2 High」で最も低いグループだったのに対し、カンボジア・フィリピン・インドの最多レベルは「B1 High」となりました。国全体のスピーキング力を表すものではありませんが、一定数の受験者の比較では国の間でのレベル差が明らかになりました。

展望

現在、日本の人材育成を取り巻く環境は大きく変化しております。高度経済成長期時代の新卒一括採用、年功序列制度、終身雇用といった慣習は薄れつつあり、自律的キャリアの形成、スキルの可視化、リスキリング、職種別採用やジョブ型雇用、ジョブポスティング制度などが普及し、人への投資をコストでなく資産ととらえる人的資本経営が推進されています。
こうした変化の中にあっては、英語スピーキング力は事業のグローバル化推進に欠かせないスキルであり、国際的な言語指標であるCEFRによってそのレベルを可視化することは、データドリブンな人事施策を実行する上でも、より一層重要になると考えられます。

今後は「PROGOS®」の受験数増加に加え、そのデータをグローバルリーダー育成に必要となる他のスキルのデータと組み合わせ、人材採用・配置・育成の最適化へのデータドリブンな活用を推進していくとともに、独自の強みとなるアセスメントデータプラットフォームの構築につなげてまいります。

「PROGOS®」概要

テスト形式 オンラインテスト 自動音声・スクリーン表示に従い解答
試験時間 約20分
問題内容 インタビュー、音読、プレゼンテーション、グラフ・図を用いたプレゼンテーション、ロールプレイ
採点方法 AIによる自動採点
評価 総合評価 : CEFR-J * レベル
指標別評価 :CEFR*が定義する6評価項目
測定範囲 Pre-A1 から B2 High & above (自動採点版)
結果通知 受験後、最速で2~3分 (自動採点版)
受験環境 マイク・スピーカー機能のあるパソコン/タブレット/スマートフォン
OS:Windows(Windows8.1以上を推奨)/Mac(MacOS X 10.14以上を推奨)/ChromeOS最新版
ブラウザ:Google Chrome ・Mozilla Firefox ・Microsoft Edge ・Safari

株式会社プロゴスについて

所在地:東京都渋谷区神宮前6-27-8 京セラ原宿ビル2F
代表者:代表取締役社長 坪内 俊一
URL: https://www.progos.co.jp/
事業内容:グローバルリーダーの評価・育成

本件に関するお問い合わせ先

株式会社レアジョブ 広報 水口
メール:press@rarejob.co.jp